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次期ムーヴ、次期トール/ルーミー、新型コペン…ダイハツ徐々に生産再開でもいまだ見えぬ新型車の道筋

掲載 28
次期ムーヴ、次期トール/ルーミー、新型コペン…ダイハツ徐々に生産再開でもいまだ見えぬ新型車の道筋

 2024年2月22日、ダイハツ工業は昨年(2023年)末に公表された認証試験不正問題により発生した「ステークホルダーのお困りごと」への対応と進捗状況について、記者の質問に答えた。いくつかの車種で生産が再開され、仕入れ先企業への補償も始まっているとのこと。そのいっぽうで、昨年までに予定していた新型車の開発はストップしており、こちらの再開は「とてもそれどころではないと考えています」とのこと。

文/ベストカーWeb編集部、画像/ダイハツ工業、ベストカー編集部

次期ムーヴ、次期トール/ルーミー、新型コペン…ダイハツ徐々に生産再開でもいまだ見えぬ新型車の道筋

■「一刻も早く生産を再開して納車してほしい」

「当社の認証不正問題に関しまして、お客様を始めとするステークホルダーの方々に、多大なるご迷惑とご心配をおかけしておりますこと、あらためまして深くお詫び申し上げます」

 記者陣の質問に答えるダイハツ工業のコーポレート統括本部、井出慶太統括部長は、冒頭上記のような謝罪から会見を開始した。

 ダイハツは2023年12月20日、第三者委員会の調査報告を受けて認証不正問題を公表、翌日から国交省の立入検査を受けて、ただちに国内全工場の生産と出荷を停止し、全国のダイハツ車販売店も新車販売を停止した。

 その後、国交省から是正命令、消費者庁から指導を受け、2024年2月9日に再発防止策を国交省へ提出。2月13日には会長、社長交代を含む経営陣を一新する新体制を発表した。

 販売店を通してユーザー(納車待ち、既納ユーザー)からの問い合わせに対応し、仕入れ先企業へは補償を開始しているという。

 そうしたなか、国交省による立会試験などの結果、道路運送車両法の基準に適合していることが確認され、かつ販売現場から「一刻も早く生産を再開して納車してほしい」という納車待ちユーザーが多い一部車種に関して、生産再開を発表した。

一部車種(ミライースなど)の生産再開日程は発表されたが、人気車種であったタフトやムーヴキャンバスの生産・出荷・販売の再開時期についてはまだアナウンスされていない

【2月12日から生産再開される車種(2024.1.31発表)】
トヨタ・プロボックス
マツダ・ファミリアバン

【2月26日から生産再開される車種(2024.2.9発表)】
ダイハツ・ミラ イース、ハイゼットトラック、ハイゼットカーゴ(デッキバン含む/生産終了)、アトレー(デッキバン含む)
トヨタ・ピクシス エポック、ピクシス トラック、ピクシス バン(生産終了)
スバル・プレオ プラス、サンバー トラック、サンバー (バン/生産終了)

【国交省から基準適合の確認は受けているが生産再開日程は調整中の車種(2024.2.16発表)】
ダイハツ・ロッキー(ガソリン車)
トヨタ・ライズ(ガソリン車)
スバル・レックス

【国交省からまだ基準適合の確認を受けておらず生産開始日程も未定の車種】
ダイハツ・タフト、ムーヴ、ムーヴキャンバス、タント、コペン、トール/ルーミー(※ミラトコット、ブーンは2023年12月に生産終了)

■「(新車開発や新規認証取得は)とてもそれどころではない」

 ここで気になるのが、すでに次期型の開発が進み、「2023-2024年頃に新型車が登場するのでは」と言われていた、ムーヴやトール/ルーミーのフルモデルチェンジだ。

 特に新型ムーヴについては、2023年5月の時点で開発が大詰めを迎えており、各ダイハツ販売店には見込み顧客向けへの事前案内のため、販売マニュアル資料が配布されていた(現行型の発表は2014年~)。

新型ムーヴはクラス初の両側スライドドアを装備して発表される…はずだった。すべての開発が停止したことで、発表時期は未定に。短く見積もっても今年秋…までは無理だろうな…と…

 多少時期は前後するが、トール/ルーミーも似た状況。本来のスケジュールであれば2023年末あたりにフルモデルチェンジしているはずだった(同じく現行型は2016年~)。

 また、現行型コペン(2014年~)も新型開発は進んでいたはずであり、2023年10月に開催された「ジャパンモビリティショー」のダイハツブースでは、(軽自動車規格ではなく)ワイドボディ化+排気量アップされた「コペンヴィジョン」が出展され、市販化への熱い期待が寄せられていた。

 そのうえで、そういった新型車スケジュールは、2023年5月に発覚した認証試験不正問題と、調査を依頼されていた第三者機関による調査結果発表(同年12月)により、吹き飛んだかたちとなる。

2023年10月に出展された「コペンヴィジョン」。拡幅され排気量もアップ。これなら欧州やアセアンにも輸出できるはずだったが…残念ながら全面的に開発は止まっていると考えたほうがよさそう

 現行型ムーヴや現行型トール/ルーミー、コペンも、現時点で国交省による基準適合の確認を受けているはずだが、これははたして生産再開となるのか? もしやこのまま新型発表発売まで「生産を止めたまま」ということはありうるのか?

「(新型車の開発や発表は)とてもそれどころではない、という状況です」と答えたのは、上述のダイハツ井出部長。昨年5月の認証不正問題発覚と調査開始以降、新型車の開発はいっさい停止しており、新規に認証をかけられる状態にはまったくないという。

 それはそうか……。

 現在、ダイハツ車は順次生産を再開しているが、それはあくまで「昨年までに注文を入れていて、納車を待っているお客様にお届けするため」であって、新規受注を再開しているわけではないという。

 ミライースもハイゼットカーゴも、ビジネス(商用)需要が高い車種であり、注文を入れている企業にとっては「(決算の関係で)なんとか年度内に納車してほしい」という事情もあるのだろう。

 まずはそうした声に答えつつ、続いてそれ以外の車種についても「認証不正問題があっても、なお、納車を待ってくれているユーザーへ向けて」生産再開・納車再開となる見込み(これはダイハツ関係者への取材により聴取)。

 そうなると、まだ日程は未定とはいえ、生産・販売・納車が再開されるのはまずは(新型/次期型ではなく)現行型ムーヴ、現行型トール/ルーミー、現行型コペンとなりそう。

2024年3月1日付けでダイハツ工業に社長に就任する井上雅宏氏。トヨタ自動車では中南米本部長を務めていた。トヨタ佐藤社長とも積極的に情報交換し、ダイハツの信頼回復と再発防止に取り組む

 2024年3月1日から、ダイハツは井上雅宏新社長を迎えて船出をする。(開発部門と評価・試験部門の切り離しを柱とした)再発防止策の実施だけでなく、「事業領域の大幅な見直し」も公言された。

 もちろん今後の経営戦略次第だが、ダイハツの国内事業は軽自動車の開発・販売に専念する可能性もある。

 そうなると、評判のよかったトール/ルーミーの次期型はトヨタが引き継ぐことになるのか? コペンビジョンはどうなるのか? 売れまくっていたライズ/ロッキーの次期型開発はどうなる??

 これらも「いまはそれどころではない」ということだろうし、なにより大事なのは再発防止とユーザーからの信頼回復だろう。そのとおりだと思うし、粛々と進めていただくことを強く望むが、それでも「今後のダイハツの再建案」は気になる。

 井上社長、落ち着いたらインタビューさせてください。「安くて楽しいダイハツ車」が復活することを信じております。

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みんなのコメント

28件
  • tma********
    コペンXPLAYに乗っています。
    現行コペンは今までもローブからXPLAY、セロ、GRsportsとして派生車をだして来たので、次期型として1.3LFR化に期待してましたが、
    ダイハツが軽に集中するなら、軽としてMCなくガソリン車が終わるまで特別仕様車を出していくんじゃないか。
    ビジョンコペンはトヨタが引き継いでS-FRとして出すんじゃないかな。それをダイハツで売る時には「コペン ○○」と名を付けるかもしれないけど。
  • のと
    ダイハツは軽自動車専門にすると言っているから新型コペンも出さないで終わるだろ。
    やるとしたらまた軽自動車のFFじゃね?
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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